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人口減少問題に挑む IT技術が変える地方の風景

日本の人口が、継続的に減少するようになってから久しくなりました。とは言っても都市に住んでいる方であれば、目に見えて大きな問題は増えておらず、実感が湧きづらいかも知れません。しかし人口の減少が引き起こす問題は、地方においてはすぐそこまで迫っています。
人口減少問題に警鐘を鳴らした『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』(増田寛也編著)によると、2010年から2040年までの間に急激な人口減少に遭遇し、「消滅可能性都市」と見なされる自治体が896にものぼると考えられています。全国の傾向としては、北海道・東北地方(震災の影響で正確なデータが取得できない福島県を除く)の80%、山陰地方の75%、四国の65%の自治体が消滅可能性都市として挙げられています。

もはや一刻の猶予も許されない人口減少問題ですが、行政の対応はもちろんのこと、ITが果たす役割にも大きな期待がかかっています。地方創生に対して、ITは何ができるのでしょうか。

ポケモンが地方を救う!?

ポケモンGoは、リリースされるや否や、世界中で熱狂的なブームを引き起こしています。実際に街に繰り出してポケモンを捕まえていくという、今までのゲームの常識を打ち破る特性を活かして、地方創生に活用できないかどうかと任天堂・ナイアンティック社に持ち掛けたのが、自民党IT戦略特命委員会です。特定の観光地等にレアポケモンやアイテムを配備することにより、ゲームプレイヤーを誘致することで、地方観光の活性化などにつなげるのが狙いです。ポケモンだけに限らず、AR技術を用いたゲームやエンターテイメントは、これから大きな伸びを見せていくと考えられています。その中で、ポケモンやその他のゲームが地方創生につながる可能性も、十分に考えられるでしょう。

ITベンチャーが続々と拠点を増やす 徳島県神山町

1955年には2万人を超えていた人口も、2015年には6000人ほどに減少し、高齢化率も高い徳島県神山町。これまで実施してきたさまざまな施策により、今では12社のITベンチャー企業が拠点を構え、人口増も達成しました。徳島県は、2000年代から光ファイバーの整備を推進しており、普及率は全国1位を誇っています。恵まれたインターネット環境と豊かな自然に目をつけたのが、クラウド名刺管理システムを展開するSansan株式会社です。2010年に神山町にサテライトオフィスを設置。チャットツールと社内SNSを駆使し、遠く離れた東京のメンバーがすぐそこにいるかのようなバーチャルオフィスを構築しました。

今やIT企業に勤めるエンジニアたちは、インターネットとパソコンさえあればどこでも仕事ができる時代です。むしろ豊かな自然環境で仕事をすることで、ワークライフバランスの改善という効果も期待されています。神山町へのIT企業進出は、IT技術の発展と人々が求めるワークスタイル改革とのニーズが合致した結果生まれたものであり、今後他の自治体への波及も見られるかも知れません。

地方創生の施策は、ビッグデータから生まれる!?

あらゆる産業を一変させる力を持つビッグデータは、当然地方創生においても大きな威力を発揮すると期待されています。しかし、これまで地方創生に活用できるデータはさまざまな場所に分断されており、使い勝手が非常に悪いことが大きな悩みの種でした。そこで、経済産業省が開発を行ってきた地域経済分析システムをベースとして、経済分野以外のさまざまなデータも取り込んだビッグデータシステム「RESAS(リーサス)」が開発されました。このシステムは「産業マップ」「観光マップ」「人口マップ」「自治体比較マップ」によって構成されており、地方創生に役立つデータが使いやすくまとまっています。

これを活用し、人口減少の問題と課題分析を行ったのが、青森県八戸市です。八戸市では、人口の社会移動のデータを用いて統計解析を行い、八戸市の全国における位置づけや特徴を分析。結果として、八戸市のみの対策ではなく近隣自治体と連携して取り組むことの重要性など、これからの人口減少に対応するための施策を出すのに有益な示唆が得られました。これからの地方自治体は、ビッグデータを用いて行政施策の立案にあたることが常識になるかも知れませんね。また、分析のためにBIツールを活用するスキルも必要とされていくことでしょう。

参考文献

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