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プログラム開発手法との違いで知る デザイン思考とは

近年では数多くの書籍が発売され、一種のバズワードのようにもなっているデザイン思考。エンジニアにとっては、デザイン思考のプロセスのひとつである「プロトタイプを作ってフィードバックを受ける」という点のみに注目すると、プログラム開発手法のひとつである「プロトタイプ開発手法」を思い起こす方もいるのではないでしょうか。またデザイン思考の最初のステップは、ともするとウォーターフォール開発手法と見間違えるかもしれません。しかしデザイン思考とこれらプログラム開発手法とは、根本の思想が大きく異なります。デザイン思考とプログラム開発手法との違いから、デザイン思考の特徴に迫っていきます。

おさらい:デザイン思考のステップ

デザイン思考は、次の5ステップから構成されます。

  1. Emphasize - ある課題において、人々を理解する作業のこと。人々がどのように、なぜ行動するのか、ニーズは何なのかを理解するステップ。
  2. Define - ユーザーの観察結果から、課題を定義するステップ。
  3. Ideate - 定義された課題を解決する策を創造するステップ。
  4. Prototype - 解決策の試作品(プロトタイプ)を生成するステップ。
  5. Test - プロトタイプに対して、ユーザーのフィードバックをもらい、人に対する共感を高めるステップ。

プロジェクト初期における注意点

デザイン思考のステップを見直すと、Emphasize→プロジェクト計画、Define→要件定義、Ideate→基本・詳細設計と、最初の段階では伝統的なウォーターフォール開発手法と似ているように見えます。また後半にはPrototype→プロトタイプ、Test→テストと、プロトタイプ開発を想起させるステップが続きます。ウォーターフォール開発とプロトタイプ開発のいいとこ取りのようにも見えますが、デザイン思考の思想と、プロトタイプ開発の思想には大きな違いがあるのです。

一般的にウォーターフォール開発の常識では「プロジェクト立ち上げ~要件定義」の段階でのコストよりも「開発~テスト」でのコストの方が圧倒的に大きくなります。しかしデザイン思考が重視するEmphasize:共感のステップにおいて、徹底的に人を観察するためには、往々にしてかなりのコストがかかります。この違いを無視して予算を組むと、プロジェクトの初期段階のコストを大きく見誤り、プロジェクト進行に支障をきたすかもしれません。ITプロジェクトとは大きく異なる手法であることを理解し、プロジェクト計画を立案することが重要です。

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デザイン思考で大切にするもの、プロトタイプ開発で大切にするもの

では、デザイン思考の後半のステップは、プロトタイプ開発とどのような違いがあるのでしょうか。プロトタイプ開発で重要視されるのは、評価版の開発とその評価です。試作品を作り、ユーザーからフィードバックを受け、さらに試作品を作り込み……というプロセスを通じ、システムに対する明確なイメージを早い段階から作って明確な要件を確定させることを目的としています。対して、デザイン思考で重視されるのは、プロトタイプはもちろんのこと、最初のステップであるEmphasizeにあります。デザイン思考のキーワードは「人間中心」という考え方であり、徹底的な観察を通じて人々を理解する中から革新的なソリューションを生み出すことを狙うのです。ここを軽視して、早々にプロトタイプに入ってしまわないように心がけましょう。

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参考文献:

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