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エンジニアのためのファシリテーション活用方法

facilitateは「容易にする」「促進する」という意味の単語です。ファシリテーションは会議やプロジェクトなどの知的活動を促進・支援する仕組みを意味します。エンジニアの業務における活用の考え方についてみてみましょう。

ファシリテーションとは

議長を中心にして議論する会議や、発表者が図版や文章を使い説明をするプレゼンテーションとは異なり、ファシリテーションは議論のみならずプロジェクトの進行までも含めた、「グループが効率的・効果的に活動できるように支援する」ことがそのコンセプトです。ファシリテーションの目的・効果については以下の項目が挙げられます。

  • グループの力の最大化
  • 目標達成への確度向上
  • 個々のミッションの明確化
  • 目標達成の最短ルート設定、ミス・トラブル防止
  • モチベーションの向上

ファシリテーションに必要なもの

1. 場所と時間

日時と会議室を設定し、参加者のスケジュール調整やその事前準備などが必要な会議と、場所や議事設定などの形式にこだわらず行われるファシリテーションが大きく異なる部分です。もちろん会議室を使う場合もあります。それよりも身近な現場など「必要なときに必要な場所で」行うことで、より実践的でタイムラグのない意見の交換、情報の共有、進捗の管理を可能にします。毎朝仕事の前や業務終了後に短い時間で行うなどもありえます。

2. 用具

ホワイトボードとペンのセット、付箋などその他、利用できるものは何でも利用します。画用紙や大型の模造紙、大型のディスプレイなどもその対象です。

参加者がパソコンで議事録を取ったり、情報をデータ化して共有フォルダに置いたりする概念とは異なります。書式や形式も必要があれば追加修正、拡張も可能。図式化のためのパーツ(名札や工程の名前、進捗を表す記号等)などを作成し、貼り付けやその移動で、現時点と今後の工程と進行をビジュアル化するなど、新しい表現スタイルを考案して活かすのもポイントです。作成した図や文章は目標達成まで継続して使用することが多いです。

3. 構成員

全員の力を結集し、それぞれの能力を発揮するのが目標のため、全員の参加が基本です。ファシリテーターは、会議の議長が適当なところで結論を代弁するなどの「まとめ役」であるのとは異なり、「進行を助ける/目的を達成するための仕組みと考え方を提供する」ことに徹します。

4. 心構え・ポイント

有名無実な会議、本末転倒な活動にならないよう、目標をしっかり設定し、高い志、意欲で取り組めるように活動環境を整えることが重要です。そして取り決めたことの実行度がわかるようにします。また継続化して日常業務にうまく取り込むことが求められます。一度きりや、参加者の都合があったときに不定期に開催するものでは意味がありません。

エンジニアのためのファシリテーションの運用と応用

1. ファシリテーションが必要な場面

では実際にソフトウェアの構築を例にファシリテーションのメリットを中心に運用と応用を考えてみましょう。ソフトウェアの構築では、その多くがなんらかの問題を抱えつつ進行すると言われています。そしてシステムの納品後もプログラムの修正や変更などの作業が避けられません。原因としては「ソフトウェアや製品の開発に向けての話し合いがまとまらないなどスタートラインでの出遅れ」「開始後のプロジェクトの遅延の常態化」「納品後の不具合ややり直しの増加」などが想定できます。

2. ファシリテーションの目的

考えるべきことは「構築コストが予算内に収まるか」「納期が期日に間に合うか」「品質が要求水準に見合うか」の3つです。それを管理する仕組みをファシリテーションに組み込みます。それぞれの目的別にその効果をまととめると次のようになります。

①    構築されるシステムの仕様の把握

仕様や目標が、製作に関わる人すべてに伝わっているかどうかは疑問が残ります。仕様書の配布、初回や中間時点でのミーティングよりも、プロジェクトが立ち上がった段階からファシリテーション形式で進行させたほうが、仕様や目的の共通認識がより確実になります。

②    求められる技術の洗い出しと水準の確認

関係する各部署やその技術者がファシリテーション形式で全員参加することで、プロジェクトの初期段階で明らかにすることができます。

③    考えられるボトルネックなどの開発上の障害

障害になりそうな部分に早めに手を打てます。参加スタッフだけで不足の場合は外部の協力者を手分けして探すなど機動力も高まります。問題の発生の都度、マネージャーに上げられてそこからアクションを起こしていたのでは後手になり、納期遅れを招くことになります。

④    全体の工数、必要人員数と期間の算定

関連スタッフが全員参加するため、必要人員数や工数の算定の確度が高まります。コミュニケーションが密になれば、進捗管理に目が行き届き、計画進行の調整やコスト管理が容易になります。

⑤    仕様変更等の発生への備え

目標の共有化、情報伝達の迅速さを確保することで、仕様変更へ対処しやすくなります。

⑥    社内体制変更への備え(プロジェクトマネージャーの異動等)

個々のスタッフが有機的に活動しているため、プロジェクト期間中のスタッフの人事異動など流動的な組織運営を可能にします。マネージャーやメインスタッフがプロジェクトに拘束されることなく、異動や兼務を行なえる体制が実現されます。

3. 設定ルールと応用

技術部門では専門家のそれぞれの意見やアイデアを生かすことがより重要です。「意見はすべて書き出す <ビジュアル、共有>」「意見やアイデアは否定しない」「全員が意見する、役職や在職年数などに配慮しすぎない」などが基本ルールです。もちろん「意見を言いすぎる人」「自分のアイデアを押し通す人」などをファシリテーターはうまくコントロールしなければなりません。

業務の種類や目的によりファシリテーションのあり方もまた異なると言えるでしょう。自主的に考え、修正を加えるなどでファシリテーションの運用方法をブラッシュアップしていくことも大切です。重要なことは、形式やこれまでの習わしにとらわれないことです。

部署や会社の組織全体でファシリテーションの考え方で業務進行するのが理想ですが、企業風土や文化は長年培われてきたもの、いきなりすべてを変革するのは無理でしょう。

当初は勉強会のつもりで小グループによる仮のテーマで効果を測定し、次第に新規企画などのアイデア創出にテーマを発展させ、さらに実践的に現在のプロジェクトや新規の案件にそってファシリテーションの仕組みを日常業務に取り入れていくのがよいでしょう。

まずはファシリテーションの業務への導入について、ファシリテーションの形式で意見を出し合い、合意にまで到達してみるのはいかがでしょうか。

参考:

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