デジタルでちょっと先の面白く、を考える情報マガジン『DIP

DIP Digital Innovation People

お問い合わせ

ひと

10年後の幸せなキャリア実現のために必要な3つのシフト

「10年後には無くなる仕事のリスト」「この仕事は確実にAIに代替される」といった、自分の将来に対する不安をかき立てるような記事を一度は目にされたことがあるのではないでしょうか。IT業界の人材は比較的AIへの代替が難しいとされていますが、日本語で書いた仕様書から自動でコーディングをする製品はすでに世の中に登場しています。上流工程の仕事でさえ、自然言語解析の技術が発達すれば、AIがお客様の要件を理解して仕様書に起こす日がくるかも知れず、いつ何時AIに仕事を奪われるか分かりません。

そんななかで生き残っていくためには、日々変化する技術トレンドをキャッチアップするだけではなく、キャリアを本質的に考えることが重要です。ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏は、働き方の未来図を描く際に、キャリア上の3つのシフトを行うことが重要だと指摘します。この3つのシフトは、あなたがこれから幸福なキャリア人生を送るためのひとつの羅針盤となることでしょう。

シフト1:ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ

将来どのようなスキルが求められるか分からないから、とにかく広く浅くスキルを身に付けてリスクヘッジをしよう…一見正しいように見えるこの考え方ですが、浅く広く知識を蓄えることに関してはAI技術の十八番です。また世の中が複雑化していくなかでは、そもそも浅い知識は何の役にも立たなくなる可能性すらあります。これからの時代は、浅く広くではなく深く広く知識を蓄え、求められるスキルが変わったときのリスクヘッジ(広く)と、AIに代替されずに価値が出せる(深く)ようにすることを同時に行う必要があります。これをリンダ・グラットン教授は「連続スペシャリスト」と呼んでいます。

この際、どのようなスキルが将来的に高い価値を発揮するかを考えることは言うまでもありませんが、自分をどのように見せるかというセルフマーケティングの考え方も重要になります。グローバル化が激化する未来では、あなたの競合は日本国内の人材だけでなく、熾烈な学歴社会を生き抜いてきた中国やインドの技術者となるかも知れません。競合が増え続けるなかで、自分は価値ある人材だと周りに認めてもらうためには、自分がどんなスキルを持っているのかを積極的にアピールするための仕組み作りが必須となります。

シフト2:イノベーションを「協力して起こす」姿勢へ

単純作業や簡単な問題解決は、そのほとんどをAIか単価の低い人たちが奪っていきます。そんな世の中で価値を出すためには必然的に難しい問題に取り組む必要がありますが、自分自身のスキルだけで戦っていくことは近い将来限界が見えてくるでしょう。競争が激化していくからこそ、他の人と協働し、時には違う会社の人たちと結びついてともにイノベーションを起こしていくという体制づくりが、新たな価値を生み出すことになります。言い換えれば、これからは知的資本だけでは生き残れず、知的資本と人的資本の両方を組み合わせていくことが重要になります。

インターネットの世界の普及で、他人との協働は比較的楽になったと言えるでしょう。しかし、その分、漫然とつながりを作るだけでは、価値を持った人的資本とは言えなくなっていきます。自分の人的ネットワークを点検し、時には生身で会って関係性を深め、時には新たな出会いを求めて意識的に行動をするなど、人的資本に対してより積極的な姿勢を取ることが必要となります。

シフト3:本当にやりがいを感じられるキャリア人生へ

そもそもあなたは、なぜ働くのでしょうか。もちろん全く働かなければ、お金が得られず、生活は困窮してしまいます。しかし、ある程度の生活レベルが保証されると仮定したときに、あなたは働く理由を自信を持って答えられるでしょうか。ここで少し時間を取って考えてみてください。

第一のシフトと第二のシフトを行えば、10年後の未来においてもあなたはそれなりの収入と、それなりの地位を手に入れられることでしょう。なぜここにきて、働くことの意義を考える必要があるのか。それは、お金と地位が手に入ることは幸せなキャリア人生を送ることの十分条件と言えず、本当の意味で幸せな生活を送るためには、あなたはどんなことで幸せを感じるかを考えることが必須だからです。IT技術と社会の変化により、未来では働き方そのものは無限大に広がっていくことでしょう。そのなかで「本当に幸せな」人生を送るためには、お金が得られるか、地位が得られるかという観点ではなく、本当に自分が望むものを見定め、世間の価値観に惑わされずに取捨選択していくことが大切になります。

このシフトの実行は、口で言うほど簡単なものではありません。またあなた自身ではなく、あなたが大切だと思う家族にも大きな影響を与える決断になるはずです。ぜひこの機会にじっくり考え、あなたの大切な人々と「本当に必要なものは何か」について対話をし、第3のシフトへの準備を進めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

著者情報

著者アイコン

宇野俊介

IT・HRコンサルタント、クロスボーダーコンサルタント。
上海・シンガポールをベースに世界を飛び回り、組織開発、人材マネジメントコンサルティング、戦略コンサルティングなどを提供しています。ITコンサルタントとしては数百億円単位の生産管理システム刷新プロジェクトにおいて、最重要モジュールの開発を指揮。カメラが趣味で、レンズの値段と銀行残高とをにらめっこするのが日課です。圧倒的な猫派。

関連記事

無料メルマガに登録して最新情報を受け取ろう