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ドローンが物流のひとつの分野を担うには 普及シナリオと技術的課題

楽天が「そら楽」を開始し、自治体のドローンによる配送実験の様子も報道されるようになってきました。古くから日本が得意としてきたメカニカルなテクノロジーを活かせる分野であり、AI技術、画像処理技術、ビッグデータテクノロジーなども加わり、国内での実績を海外へ輸出するなど、将来の産業としての期待も高まっています。

ドローンが活躍する分野と予測

ドローンの利用場面・目的を整理したものが以下です。
①    農業、大規模施設(太陽光発電施設等)、災害現場、その他建築物(ビル等)のモニタリング
②    測量・観測(データの取得)
③    物流
④    他(空撮等)

ドローンを含む「国内産業用無人飛行機・ヘリコプター(民生用を除く10万円以上の機体対象)」の市場規模は2018年=84億円、 2022年406億円<(株)シード・プランニングの調査結果による>が予測されています。用途の内訳は「整備・点検」「測量」でほぼ半数を占め、「倉庫」「農薬散布」「災害調査・支援」「警備」「テレビ・映画の空撮、輸送、宅配、工事現場」の順の市場規模(同社2020年の予測)。宅配などの分野は法整備の関係から、市場の成長性は高くても今すぐ巨大な市場になるものではなさそうです。
ドローン用途の多くは大規模施設などの空からの監視や農業分野など限定的ですが、「物流」という社会の身近なところで活用されるようになると、安全・的確に運行させるための大規模な機構やシステムが求められることになります。これがサービス市場として期待され、ドローン物流が注目される背景でもあります。

ドローンが自動配送をする物流の技術的な課題

整理すると、ドローン本体そのものより、ドローンを安全に飛行させるソフト面での課題が多く、言い換えればビジネスチャンスがそこにあると見ることができます。

1.   ハードウェア(ドローン本体)

15メートル以上の風速でも飛行できること、冬季や寒冷地での電池の寿命、飛行時間、飛行頻度に耐える機体の耐久性、トラブル時の自動着陸、衝突時の緩衝性などの安全性、プロペラやモーターの静穏性、積載量の拡大、運搬物の物理的な保護(盗難防止)等。

2.   ソフトウェア

  • 「地図/位置情報の処理」の高次化、妨害電波・プログラムへの対抗、物品保護のパスワード機構などの「セキュリティ」、GPS圏外での安定した飛行、人やプライベート情報の認識と判断のための「画像処理/診断機能」、それらのデータから、危険の自動回避機能や学習して高めるための「AI機能」等。セキュリティ(妨害電波/プログラムへの対抗、物品の保護<パスワード機構など>)
  • 画像処理/画像診断(より安定した飛行、GPS圏外での飛行、人やプライベート情報の認識)
  • AI機能(危険自動回避、経路とセンサーや画像データからの学習)

3.   システム

  • 複数の会社の複数のドローンの飛行や航路を監視・統制するための「ドローン管制システム」、飛行時のデータを取得する「IoT」とそれらから最適な飛行と運営のための解を算出する「ビッグデータテクノロジー」等。
  • ビッグデータテクノロジー/IoT(集められたあらゆるデータの解析によるドローン利用の最適化)

想定されるドローン物流の普及段階

技術的、法整備的にもまだ発展途上にあるドローンです。そのため実際の稼働と普及は段階的に進むことになります。

空路が限定されている場所での利用(企業などの敷地内・施設内)

法律の整備もさることながら、近隣住民の認識の問題などもあり、車が行きかうように公の空をドローンが飛ぶのはまだ難しいと思われます。楽天(株)が開始したのはゴルフ場内でのプレイヤー向けに飲み物などを届けるサービスです。大きな工場の敷地内などで書類や部品などを空中輸送する仕組みは実用性が高いと考えられます。巨大な倉庫やセンターが吹き抜けのオフィスビルなら建物内での空送も可能です。

海上を結ぶ(離れ島への小口/緊急輸送)、陸路でも困難な地域への配送

離れ島では定期便の運航に合わせて荷物が届くので、数日に一度というケースもあります。たとえ一日に何便もある近距離の島でも食べ物に関しては待ちきれないはずです。ドローンならば近距離の小島へのピザの時間限定宅配も可能。山間部も“陸の孤島”のたとえにあるとおりでドローン配送の活躍の場です。

公共性の高いものの運搬(医療関係)

血液や血清を届けるなどの緊急輸送の場合、渋滞のない空や海や山を越えて飛ぶことのメリットは計り知れないでしょう。

試験的な宅配等での利用場面(ドローン・モデルタウン等)

自治体も含めた実験がはじまり、ドローンの離着陸スペースを持つマンションなどが建つことで、特定の街区などでの運用からスタートすることになるでしょう。

ドローン配送地域の拡大

モデルエリアがつながり、モデルシティへと発展することでより広域なサービスとなれば、その管理や運用のためのバックヤードとしての機構やシステムが求められます。現在は通信販売の会社がドローンを使った直販・直送のスタイルですが、現在の物流のようにドローン配送だけを請け負うサービス会社などが生まれ、専門化・分業化が進みます。

ドローンそのものはひとつの機械ですが、それを取り巻くサービスの中に、ITビジネスの多くのチャンスが秘められていると言えるわけです。

参考文献

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