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高まる生体認証セキュリティ最前線  「手の平静脈認証」「虹彩認証」の優位性

個人情報の漏えいが報じられることで、そこから被る会社の損害について企業の経営者も憂慮の度合いを高めています。しかしIDカードとパスワードによるセキュリティでは、強固にするほど管理は複雑になり、利用者もパスワードの定期変更やカードの紛失に気を使わなければなりません。そこで注目されるのが個人に唯一の生体情報を利用したセキュリティシステムです。マイナンバー制度の開始、年金不正受給の防止などからも、生体認証への期待が社会的にも高まっていると言えるでしょう。

高価で特殊なシステムではなくなってきた生体認証

生体認証は、指紋、声紋、顔、静脈、網膜、虹彩などの固有情報を利用したシステムです。技術の進歩と小型化で生体情報の取得も簡便化され、導入費もIDカード認証システムとさほど差がなくなってきていると言われています。導入後はパスワードの管理、紛失した際の再発行などの手間を削減できるので運用上のコストメリットも期待できます。

「手の平静脈認証」と利用例

読み取り装置の小型化などで「指紋認証」が普及してきました。しかし指先の荒れなどの変化による読み取りエラーや、コピーした指紋によるセキュリティ突破が弱点でした。そこで注目されるのが手の平の静脈のパターンから個人を特定する「手の平静脈認証」です。手の平の静脈という生体情報の安定性や、読み取り端末の小型化で用途が広がっています。その具体例を見てみましょう。
銀行端末の不正引き出しの防止、セキュリティルームへの入室などに「手の平静脈認証」が利用されているのはもちろん、病院の患者を特定するシステムとしての利用例があります。患者を取り違えることは生命にかかわります。「手の平静脈認証」の中でも読み取り器に手をかざすだけの非接触型は、院内感染防止の点からも利用価値が高いと思われます。生体情報をより容易に負担を少なく取得できることで、セキュリティ以外の用途への広がりが期待できる事例です。

「虹彩認証」と利用例

網膜の生体認証は高精度ですが、大がかりで生体情報の取得も顔を固定するなど使いやすいとは言えません。そこで注目されるのが「虹彩認証」です。双子でも異なる虹彩のパターンを利用し、レンズ部分を見つめるだけでデータが取得できる非接触型であることが特長。スマートフォンの画面のロック機能にも使われているのをご存じの方も多いでしょう。
官公庁や民間企業のデータ室などの入室管理に採用されているほか、セキュリティカードなどを持ち込めないクリーンルームや食品工場での利用例もあります。手袋やマスクをつけたままレンズ部分をのぞくだけで簡易かつ衛生的に認証が行えるのは、「虹彩認証」の大きなメリットです。
コールセンターでの「虹彩認証」の採用も興味深い例です。コールセンターは電話スタッフの数が多く、入社退社の入れ替わりが激しく、シフト勤務でオペレーションルームの出入りも頻繁です。カード認証システムでは膨大な発行数となりその管理も大きな負担でした。「虹彩認証」でセキュリティを高次に保て、高速スキャンで入退出時の認証もスムーズになり、カードの発行と運用コストが削減できました。

生体認証システムの運用面

生体はパスワードのように漏えいの後の変更などができません。万一、認証データを持ち去られてもその複製技術の点でセキュリティ突破は難しいとされますが、データ管理にはより慎重さが求められます。そこで、生体情報そのものを利用者の端末(スマートフォン等)に保管する方法も注目されています。セキュリティ管理側が生体情報を大量に保有するリスクやユーザーのデータ提供の嫌悪感を低減できる点が特長です。

生体認証の優位性 導入による二次的価値

中小企業でも漏えいによる損害賠償、企業イメージの失墜などダメージを意識するようになってきました。生体認証でセキュリティを強化できるだけでなく、社内の意識も高まり、対外的な信頼も向上する二次的価値も注目できます。そのうえで、IDとその権限管理のための技術者の時間とコスト、複数のIDカードを携行したりパスワードを定期的に変更したりしなければならない社員や協力会社スタッフの負担を低減することができるのです。

生体認証でセキュリティを強固かつ簡便にしたことで、金融機関では顧客が増えた事例もあります。利用者もカード類の保管や暗証番号のわずらわしさから解放されたい証であると言えるのではないでしょうか。

参考文献

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