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【取材】BIツールでデータの視覚化・分析を体験してみた

分析に使うデータを収集、ロードしてから可視化し、それを見た人間が結果を解釈していく――これらのプロセス全般のことを、ビジネスインテリジェンス(BI)といいます。これはビッグデータの重要性が叫ばれる以前からある概念ですが、IoT(Internet of Things)という概念が導入され、ビッグデータと企業を取り巻く環境が大きく変化していく中で、BIにも新たな変革の波が訪れています。

従来は、経営層がデータを可視化して意思決定をしていく方法や、データサイエンティスト主導の高度な統計解析による意思決定がなされていました。しかし、そういった一部の人間だけでなく、現場部門も含めて柔軟にデータ分析をし、その結果をもとに即座に行動に移すことができれば、データをビジネスに有効活用できるチャンスも格段に増えるはずです。

そこで現在は、デバイスや場所に縛られずに多様なデータソースにアクセスでき、集計・可視化処理を思考の速度で行うことが可能なBIツールが注目を集めています。

今回は、富士通ラーニングメディア(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:青山昌裕)が主催するセミナー『BIツールでデータの視覚化・分析を体験!~デジタルビジネス時代のサバイバル術 第一弾~』(2016年8月25日開催)を通じて、いま注目を集めるBIツールと、その可能性に迫っていきたいと思います。

注目を集める「セルフBIツール」

従来型のBIは経営層向けの情報が中心であって、現場では必要な情報をIT部門に要求し、それをもとにExcelで分析する……という手法をとってきました。しかし、現場で「違う軸で分析してみたい」という意見が出た場合には、それに対応するためにIT部門や専門家がデータベースの設計をやり直さなければならず、リードタイムの増長が起こりがちです。また、現場におけるExcelのスキルレベルも問題になってきます。

その問題点を解消したのがセルフサービス型のBIツールです。高度な統計上の知識は不要で、直感的にデータの可視化が可能になり、現場の担当者が自ら軸を変えながら分析することもスピーディに行えます。たとえ、操作を現場ではなくIT部門が担当したとしても、現場の意見が素早く反映されたデータを出せるので、間接的に現場が分析に携わることができます。

また、デバイスの汎用性が高いことも大きな特徴です。PCはもちろん、スマートデバイスで分析サーバにウェブアクセスでき、その場で迅速に、人間の思考の速度のままに軸を変えながら分析していくことができます。

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「従来型の場合、たとえば会議でExcelの資料を渡しても、経営陣のイレギュラーな要求に対応しきれずに後戻りとなってしまうことが頻繁に起こっていました。しかし、セルフBIツールはその場でスピーディに分析をして可視化できるので、ビジネスのスピードが遅れる事態を避けられるはずです」(本セミナー担当講師:富士通ラーニングメディアの拝野氏=以下、FLM拝野氏)

実際にBIツールを体感!

今回のセミナーでは、上記のようなセルフBIに関する解説の後、実際にBIツールを使用して、参加者それぞれの現場で「何ができるのか?」を体感する時間も設けられました。

今回使用したBIツールは、マイクロソフトが提供する「Power BI」。直感的な操作でビジュアル分析ができ、柔軟で流動性の高いキャンバスにドラッグアンドドロップで望みの位置にコンテンツを配置できます。

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実機操作にあたっては、以下のようなストーリーが用意されました。

文具、事務用品などのオフィス用品の販売を行っている会社で、現在、売上が頭打ちになっていることが問題になっているとします。その会社に現場の従業員として勤めていると仮定して、経営陣から「過去5年の商談データを様々な観点で分析し、主要KPIや売上の傾向を掴みたい」との要望がありました。

具体的には、

<要求1>
今年度の営業担当者別の売上金額(金額の降順)を確認したい

<要求2>
今年度の商談のうち、カテゴリごとの売上金額と各カテゴリ内の商品の売上金額の割合を確認したい

※商品データや顧客データ、商談明細、従業員名といったデータテーブルはCSVファイルとして準備されています

こうした課題に対し、以下の3段階で分析作業を進めていきます。

①  データセットを用意
②  リレーションシップ構築
③  可視化

①は各データソースからデータを引っ張り出し、ツール側に読み込ませるフェーズです。
この際に、たとえば売上データの軸を顧客名にして棒グラフを描きたいということであれば、売上のテーブル、顧客のデータを紐づけて分析する必要があるため、それぞれロードしたテーブルに関してリレーションシップを構築します(②)。

③の可視化フェーズについては、現在のセルフBIは非常に手軽。ドラッグアンドドロップやクリックといった、非常に単純な操作で的確なグラフを作成することができます。

それぞれの課題に対し、Power BIを使って前述の①~③の作業を行いましたが、参加者はもちろん、記者にも簡単に操作が行うことができ、提示されたストーリーの要求に応じたグラフを描くことができました。
ちなみに<要求1>については、金額を値にとり、従業員を軸としたグラフを作成し、誰がどれぐらい売り上げたのかがわかる棒グラフに。
<要求2>では、大きなカテゴリの中の商品の割合を見ていきたいということなので、複数の割合を見たいというときによく使われるツリーマップ(名前はツールによって異なる。QlikViewでは『ブロックチャート』という)を視覚化のメニューの中から選択し、無事表示することができました。

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まとめ

今回のセミナーには、主に企業の情報システム部門の方が出席していましたが、課題終了後の自由な実機操作時間で、

「これはうちの会社のあのデータに使えそう」
「非常に面白い。個人的にも使ってみたい」
という声が多く聞かれました。

ただ、BIツールの操作ができる以前に、実はその前段階である「データの用意」が最も重要になってきます。もとデータが不完全であれば、当然ながら得られるデータもそれなりのものになってしまうためです。今回のセミナーでは、あくまでBIツールの操作を通じて「何ができるのか?」を体感することに重きを置いていたため、分析に必要なデータは主催者側が用意していました。しかし、実際のビジネスシーンにおいては、もとデータをきちんと用意しなければならず、この段階でいかに分析しやすいモデルを作り上げることができるかが鍵になります。

「いくらセルフBIで「誰でも実現できる」とはいっても、まったく知識がない人が分析するのはなかなか難しいです。従って、データの用意については、どんなツールであってもある程度は学習する必要があります。ただ、情報システム部門の方が使って現場にプロトタイプを作って持っていき、現場からのフィードバックを受けながら手軽にブラッシュアップしていけるのが今のBIツールです。うまく役割分担をしながら、組織全体でデータの利活用を進めていただきたいですね」(FLM拝野氏)

富士通ラーニングメディアでは、データの可視化をスピーディに実現することができるようなツールの講習会を行っており、今回使用したPower BIのほか、QlikTech社、Tableau Software社、SAS社などが提供する各種BIツールの研修を含め、現場部門でのデータ活用を進めるための技術、スキルを身につけられる研修コースを各種提供されています(https://www.knowledgewing.com/kw/)。

今回はその入門編ではありましたが、今後、業界問わず導入が進むと予想されているBIツールの可能性を十分に感じられる内容でした。

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