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ソーシャル時代のリスク管理 つながる時代の予防線

ここ数年、スマートフォンに代表されるモバイルデバイスの進化には目を見張るものがあります。またSNSなどのソーシャルメディアも歩調を合わせるようにして発達し、今や人々の生活インフラと言っても過言ではないほど日々に溶け込んでいます。ソーシャルメディアはこうして人々の生活を豊かにする一方で、ソーシャルネットワーク上での炎上騒ぎは後を絶たず、企業活動に大きな支障をきたすものも数多く発生しています。ソーシャルネットワークの恩恵を最大限に受けつつも、内在するリスクを避けるために組織としてどのような施策を打つべきなのでしょうか。

企業におけるSNS利用に関する規則策定の現状

ソーシャルメディアのリスクを回避するために、まず必要なのが企業におけるソーシャルメディアの利用に関するガイドラインの策定です。では、世の中にある企業のうちどれほどの企業がソーシャルメディア利用のガイドラインを定めているのでしょうか。

コンサルティング会社PwCの2012年の調査によると、「ソーシャルメディアに関するセキュリティ規則がある」と答えた会社はわずか32%しかなく、7割近い会社がセキュリティ規則を持っていないことが判明しました。もちろんセキュリティ規則があればすべてが解決するわけではありませんが、未策定の会社においては早急に議論するべき課題でしょう。

ソーシャルメディアリスクの特徴

ソーシャルメディアが発達する前から、同じ類の風評被害は存在していました。しかし、ソーシャルメディア時代には以前にはなかった特徴を持っており、被害が起きたときのインパクトが非常に大きくなる要因や、管理の難しさに結びついています。

1,情報の複製・保存が容易

アナログとの最も大きな違いはここにあるでしょう。デジタルデータは複製・保存がとても容易で、著作権など法的な問題さえクリアすれば、インターネット上のデータはそのほとんどが複製・保存が可能と言っても過言ではありません。そのため一度事件が起きると、複製・拡散がネズミ算式に行われ、インターネットの世界から消し去ることが事実上不可能となってしまいます。また複製の容易さは、拡散スピードにも一役買っており、情報が瞬く間に広がっていくという点にもつながります。

2,企業活動にインパクトがあるかどうかの判定の難しさ

例えばSNS上に投稿された「最近残業続きで体が重い」という内容の書き込み。これが企業活動に影響を与えるかどうか、見極めることは大変難しいことです。よくある仕事への愚痴と捉えることもできますし、情報の切り取り方によっては「体に異変が起きるほどの長い労働時間を強いる企業」という、いわゆるブラック企業への批判だと受け取る側に思わせることもできます。この見極めの難しさも、企業が頭を悩ませるポイントになります。

3,企業行動と個人行動の境目の曖昧さ

レストランを訪れていた有名人について、そこに勤めていた店員がSNSに投稿し、問題に発展したという事件は以前より多々発生しています。SNSは人々の生活に密着しているがゆえに、企業行動と個人行動の境目が曖昧になりがちです。これにより、従業員は個人行動だと思ってSNSを利用していても、実は企業活動に支障を与える書き込みをしてしまう、といったことが起こりやすくなっています。

ソーシャルメディアリスクへの対応の考え方

では、ソーシャルメディアリスクを減らすためにはどうすればいいのでしょうか。この問題に対処するためには包括的なアプローチが求められ、事前のリスクの回避と問題発生時の観点と、ハードとソフトの両面の観点が必要になります。

事前のリスク回避と問題発生時の対処について、事前のリスク回避は当然のこととして行われるべきですが、それだけでは不十分です。ソーシャルメディアリスクは従業員の不注意という単純な問題ではなく、ソーシャルメディアを取り巻く構造的な問題であり、すべてを予防することは不可能という前提に立って対策を取るべきでしょう。事件が起きた際に迅速に対応できる体制を予め整えておくことが必要になります。

ハードとソフトの観点においても、比較的ハード面での対策がおろそかにされがちです。ソーシャルメディアリスク対策として、従業員への教育や啓蒙活動は真っ先に議論にあがりますが、ソーシャルメディア監視システムなどのハード面の導入検討も合わせて行われるべきでしょう。

ソーシャルメディアは人々の生活を豊かにするものですが、同時に企業活動への脅威にもなりえます。企業としてソーシャルメディアとの付き合い方をきちんと議論する必要があるでしょう。

参考文献

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