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バーチャルとリアルの垣根をなくす映像技術 AR/VR/SRとは

IT技術が目を見張るスピードで進化し、バーチャルの世界の存在感がどんどん大きくなってきました。そして同時にAR (Augmented Reality=拡張現実) やVR (Virtual Reality=仮想現実) といった、バーチャルとリアルの垣根をなくす技術も凄まじい勢いで進歩しており、バーチャルとリアルが融合する未来もすぐそこまで来ていると言われています。ARやVRといった技術は、エンターテイメントやゲーム業界での応用が主だと思われがちですが、医療や教育といった幅広い分野での応用が可能です。さらには近年SR (Substitutional Reality=代替現実) という新たな技術も登場しました。これらの技術の違いと応用分野について、詳しく見ていきたいと思います。

おさらい:AR ( Augmented Reality ) とVR ( Virtual Reality )

まずAR‐拡張現実とは、現実の世界にバーチャルの世界を付け加える技術のことです。スマートフォンのカメラを用いて、特定の物体にカメラを向けてディスプレイ上に架空のオブジェクトを追加するような仕組みが代表的です。またVR‐仮想現実は、ユーザーが完全にバーチャルの世界の中にいるかのような体験を提供するものです。ヘッドマウントディスプレイをつけてバーチャル世界に没入する姿が最もイメージしやすいでしょう。

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バーチャル技術の広がり続ける活用範囲

これらの活用範囲はエンターテイメントやゲームのみではありません。例えば米ルイスヴィル大学の精神科医は、社会不安などの特定の精神疾患を持つ患者に対してVRを用いた認知行動療法を取り入れています。VR上でコントロールされた環境を患者に体験させるなかで、どのように特定の現象と向き合うべきかを訓練することができます。

また教育分野からも熱い視線が注がれています。VR技術を活用すれば、大工や溶接工といった専門職の技術も高価な材料を用意することなく、安価で簡単に教えることができます。また子供たちへの教育に関しても、これまでとは次元の異なる教材を提供することができます。バーチャル技術の活用範囲は、まさに無限大なのです。

代替現実技術で時空を超える! SR ( Substitutional Reality ) とは

理化学研究所は2012年、新しいバーチャル技術SR=代替現実を発表しました。Substitutionalとは「代替」という意味を持ちます。VRやARはいかに素晴らしいバーチャルを見せるか、という点に注力しているのに対し、SRは「現実の代替となるバーチャル」を見せることが課せられた使命です。

ユーザーは、前面にカメラが取り付けられたヘッドマウントディスプレイを装着し、リアル世界の映像をカメラを通じて見ることができます。その後、カメラで映しだされた映像を、ユーザーが気付かないように同じ場所で撮影された過去の映像に差し替えることで、ユーザーに過去の映像を現在の映像だと思い込ませることができます。映像の切り替え方次第では、逆に現在の映像を過去の映像だと思い込ませることも可能です。文字だけではなかなかイメージがつかめないと思いますので、ぜひ理化学研究所が用意したビデオをご覧ください。

代替現実(Substitutional Reality: SR)システム
https://www.youtube.com/watch?v=wGE-Y7ROduk

ではこの代替現実はどのような応用範囲が見込まれているのでしょうか。この代替現実システムだけで作りだせる「普通ではありえない状況」にヒトが直面した際、ヒトがどのような反応をするかということを詳しく観察することによって、ヒトの認知に関する新たな知見が得られることが期待されています。また現実を任意で操作できることから、心的外傷後ストレス障害といった精神疾患に対して新たな心理療法を開発する糸口が見つかるかも知れません。さらに、そもそもヒトが認識する現実とは一体何なのか、といった哲学上の命題に対しても科学的なアプローチで迫ることができるでしょう。

進化を続けるバーチャル技術は、新たなビジネスの創造と科学の進展をもたらす可能性を秘めています。これからの新たな展開に期待が募るばかりです。

参考文献

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